学校施設に残るアスベスト|検出後の管理と安全対策を考える

学校施設に残るアスベスト|検出後の管理と安全

お知らせ

学校や公共施設など、多くの人が日常的に利用する建物にも、過去に使用されたアスベスト含有建材が残っている場合があります。2026年4月、大阪府は府立金岡高等学校でアスベストが検出された事例と、その後の対応について公表しました。

今回の事例では、校舎内の空気環境測定でアスベストが検出されたことを受け、立入制限や専門業者による清掃、継続的な測定などが進められています。

アスベストは、建材に含まれているかどうかだけでなく、現在の状態や空気中への飛散の有無を確認し、適切に管理することが重要です。今回は金岡高校の事例をもとに、学校などの建物におけるアスベスト管理について考えます。

学校施設で確認されたアスベストと空気環境測定

大阪府の発表によると、金岡高校では、特別教室棟4階を対象に定期的な空気環境測定が行われていました。

2022年12月には視聴覚室で空気1リットル当たり0.057本のアスベストが検出されています。その後、2025年11月17日の測定では、同じ特別教室棟4階の廊下から、空気1リットル当たり0.51本のアスベスト(クロシドライト)が検出されました。

大阪府は換気を行ったうえで再測定を実施し、空気中の総繊維数が1リットル当たり0.056本未満であることを確認しています。

ここで注意したいのは、建材にアスベストが含まれていることと、空気中にアスベスト繊維が飛散していることは、同じ意味ではないという点です。

アスベスト含有建材が存在していても、通常の状態では繊維が飛散しにくい場合があります。一方で、建材の劣化や損傷、改修工事などによって飛散する可能性もあるため、建材の状態と空気環境の両方を確認する必要があります。

検出後に求められる対応と建物の管理

金岡高校では、過去にも工事中に吹付けアスベストが露出・飛散する事案が発生していました。その後、専門家を交えた協議会が設置され、2018年にはアスベストが検出された場合の対応をまとめた検証結果報告書が作成されています。

この報告書では、アスベストが検出された際の公表や立入制限、現場の確認・点検、真空掃除機などによる清掃といった対応が定められていました。

しかし、2025年11月の検出時には換気と再測定が行われたものの、報告書に基づく一連の対応には至っていなかったことが大阪府から公表されています。

その後、2026年4月には特別教室棟4階の立入制限を実施。専門業者による真空掃除機を用いた清掃などが進められました。また、生徒や保護者への説明も行われています。

今後については、専門業者による点検結果を踏まえて対策方法を検討し、対策工事を実施する方針です。それまでの間は立入禁止を継続し、毎月の空気環境測定を行うとしています。

この事例から分かるのは、アスベスト対策では、検出後の測定だけでなく、現場の状況に応じた立入制限や清掃、点検、情報共有まで含めた管理体制が重要だということです。

空気中の測定結果と健康への影響は分けて考える

アスベストに関する報道では、「検出された」という言葉が大きく取り上げられることがあります。しかし、その情報だけで、建物を利用していた人への健康影響を判断することはできません。

今回、大阪府が公表した0.51本/Lという測定値については、環境省が示す日常生活でも検出されるレベルに近い数値であり、2018年の検証結果報告書では、健康面での経過観察や健康管理などを必要としないと判断できる健康リスクのレベルと評価されている値であると説明されています。

また、換気後の再測定では、空気中の総繊維数が測定下限値である0.056本/L未満となっています。

ただし、測定結果は、その測定を行った場所と時点における空気環境を示すものです。建物内のすべての場所や、過去のあらゆる時点の状況まで証明するものではありません。

アスベストの健康影響を考える際には、建材の種類や状態、飛散の有無、ばく露の状況などを分けて確認することが大切です。数値だけを切り取って過度に不安をあおるのではなく、公表された情報を正確に理解する必要があります。

学校や公共施設では継続的な確認が欠かせない

大阪府は、アスベスト含有吹付け材を使用している府立学校について、年1回の空気環境測定を実施しています。2026年4月1日時点で、その対象は28校と公表されています。

今回の金岡高校の事例を受け、大阪府はほかの府立学校にも対応内容を共有し、アスベストが検出された場合の対処方法を徹底する方針を示しました。また、施設管理マニュアルへの対応手順の明記や、人事異動に伴う引き継ぎの徹底も進めるとしています。

学校や公共施設のように、子どもから高齢者まで幅広い人が利用する建物では、建材の確認だけでなく、その後の点検や管理記録の共有も欠かせません。

建物を安全に使い続けるためには、アスベストの有無を把握し、必要に応じて専門的な調査や対策を行うことが重要です。

改修・解体の前にはアスベスト調査が必要です

アスベストは、かつて建物の断熱性や耐火性などを高める目的で、さまざまな建材に使用されていました。現在も古い建物には、吹付け材や天井材、壁材、配管周辺の材料などに含まれている可能性があります。

特に改修工事や解体工事では、建材を切断したり、取り外したりすることでアスベストが飛散するおそれがあります。そのため、工事を始める前に対象となる建材を確認し、必要な調査を実施することが大切です。

アスベストが含まれているかどうかは、外観だけでは判断できない場合もあります。建物の築年数や設計図書、過去の工事記録などを確認し、必要に応じて建材を採取して分析することが求められます。

建物を所有・管理されている方や、改修・解体を予定されている事業者の方は、工事計画の段階からアスベストの有無を確認しておきましょう。

当社では、建物の状況や工事内容に応じたアスベスト調査・分析に対応しています。


出典・参考資料

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